
医療機関
某病院様
電子カルテ端末や病棟タブレットの普及に伴い、朝の回診ピーク時に通信集中が発生。画面表示の遅延や障害原因の特定難に直面していた某病院様の院内ネットワークを、HPE Arubaによる集中管理型無線インフラへと刷新しました。医療現場の即時性と高信頼なセキュリティを両立させた、当社のネットワーク構築事例を技術的視点からご紹介します。

病床数や診療科を多数有する某病院様では、電子カルテ用PCをはじめ、スタッフが携行するタブレット端末、バイタルサイン測定器などの医療機器、さらには患者様・来院者向けのゲスト Wi-Fiまで、院内でネットワークに接続されるデバイスが年々急増していました。
特に朝の回診時間帯は、多数の医師や看護師が一斉に電子カルテへアクセスするため、病棟エリアの通信負荷がピークに達します。医療現場の業務を止めることなく安全に診療を継続するためには、単に電波の届きやすさを確保するだけでなく、「誰が・どの端末で・どのネットワークへ接続しているか」を一元的に可視化・制御できる強固な運用体制の構築が不可欠となっていました。
院内ネットワークの大幅な見直しに踏み切った契機はどのような点にあったのでしょうか?
最大の契機となったのは、病棟における電子カルテ端末のモバイル化と利用台数の急増でした。従来の固定式PCからタブレット端末への移行が進むにつれ、朝の回診時間帯に特定のアクセスポイント(AP)へ通信が集中し、カルテ画面の描画遅延が頻発していました。一分一秒を争う診療や処置の現場において、通信レスポンスの低下は医療スタッフにとって深刻なストレスとなっていたのです。
あわせて、生体情報モニターをはじめとする各種医療機器のネットワーク連携が急速に進展していました。利便性が向上する一方、機密性の高い電子カルテ系、院内情報系、そして外部開放する患者様向けGuest Wi-Fiの通信を確実に分離・隔離し、適切な端末認証と不審な通信の早期検知体制を確立することが、医療安全・セキュリティの観点からも急務となっていました。
多様なネットワークベンダーがある中で、HPE Arubaを選定された技術的ポイントを教えてください。
第一に評価されたのが、WIDS/WIPS(不正AP検知・防御)機能をはじめとする卓越したセキュリティ性能です。医療機関では、無断で持ち込まれた私設ルーターや不正APが重大なセキュリティリスクとなります。HPE Arubaは空間の電波を常時監視し、不正な接続を即座に検知して通信を遮断・封じ込める自律的な防御体制を容易に構築できます。
第二に、デバイスの特性に応じた柔軟なマルチ認証とロールベースのアクセス制御です。職員用PC・タブレットには強固なIEEE802.1X認証、画面操作ができない医療機器にはMAC認証、来院者向けにはキャプティブポータルによるWeb認証と、用途ごとに最適な認証方式を組み合わせることができます。さらに、ユーザーや端末単位で動的に通信経路を制限するロールベース・ファイアウォール機能により、同一SSID内であっても電子カルテ系と他の通信を安全かつ厳密にセグメント分離できます。
そして第三が、Aruba独自のClientMatch技術と自動電波調整(ARM: Adaptive Radio Management)による通信の安定化です。スタッフが病棟間を移動しても、電波強度の高い最適なAPや5GHz帯へ端末を瞬時にローミング誘導し、特定のAPへのトラフィック集中(スティッキー・クライアント問題)を解消します。これら全フロアの機器群を無線コントローラーで一元的に統合管理できるため、日々の運用管理工数を大幅に削減できる点も決定打となりました。

院内情報系ネットワークと電子カルテ系ネットワークを論理的・物理的に分離し、地下・1階から屋上に至る全フロアにフロアスイッチおよび高機能無線APを最適配置しました。ネットワーク中核となる3階サーバルームには、冗長化された次世代ファイアウォール(FW)、コアスイッチ、サーバスイッチ、および無線APコントローラーを集約しています。
また、患者様や来院者が利用するゲストWi-Fiは専用のインターネット回線へと直接ルーティングし、基幹業務トラフィックと完全に隔離。将来的な医療DX機器の追加や高精細PACS(医用画像管理システム)画像の転送も見据え、基幹バックボーンは10Gbps通信への拡張性を見込んだ冗長構成を採用しています。
ネットワーク刷新後、医療現場やシステム運用の現場ではどのような効果が現れましたか?
朝の回診ピーク時でも電子カルテの画面遷移が極めてスムーズになり、スタッフが『通信待ち』を感じることなく診療に集中できるようになりました。病室間を移動しながらタブレットを操作しても接続が途切れることなく追従するため、現場の業務ストレスが劇的に低減しています。
システム運用面でも劇的な改善が見られました。無線コントローラーの統合ダッシュボードにより、全フロアの電波環境や各端末の接続状態がリアルタイムに可視化されています。万一の接続不良が発生した際も、『電波状況・端末・認証・バックボーン』のどこに要因があるのかを迅速に切り分けられるようになり、障害対応工数は従来の半分以下に削減。専任担当者が少ない状況でも、安定した自律運用を継続できています。
今後の医療DX展開に向けた活用計画や、ネットワークの運用方針についてお聞かせください。
今後は、スマートベッドサイドシステムの導入やバイタルデータのリアルタイム連携、院内スマートフォンによる内線・ナースコール統合など、医療現場のDXを一層加速させていく計画です。今回構築したHPE Aruba基盤は、新規デバイスの追加登録やセキュリティグループの拡張が柔軟に行えるため、将来の変化にも迅速に対応できる安心感があります。
医療現場を支えるインフラは、トラブルを起こさず『動いていて当たり前』の存在であり続けることが何よりも大切です。当社としても、導入後のトラフィック推移や電波環境の定期的なアセスメント、保守サポートを通じて、病院様の安全で円滑な医療サービスの提供を長期にわたって強力にバックアップしてまいります。
顧客名
某病院様
導入内容
HPE Aruba 無線ネットワーク
対象範囲
院内ネットワーク、電子カルテネットワーク、ゲストWi-Fi
記載されている情報は資料作成時点のものです。会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
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